私のポケットはいつもいっぱい

何故だかいつもいっぱいいっぱいになってしまう、そんな主婦の日記帳です

恐竜は絶滅していなかった?

 4歳の長男は、興味があることに対しての記憶が頭抜けている。少し前まではトミカや緊急車両の名前を覚えることに喜びを感じていて、救急車、消救車、ハイパーレスキュー車など、場面に応じた車両の名前を出しては消防隊員になりきっていた。最近は恐竜にどっぷりはまり、図鑑やyoutubeで様々な恐竜の名前や特徴を仕入れて、私たちに披露してくれる。

 私も彼に付き合って恐竜を目にすることが増えた。すると、あれ?○○(恐竜の名前)ってこんなんだったっけ?と感じることが多いのだ。図鑑やDVDで見る恐竜の姿は、自分が幼い頃に覚えたものと明らかに異なっている。

 大きくは違わないが、詳細に違和感がある。「間違い探し」クイズを解いている時のように、うーん、何かが違う、何だろう・・・という感覚。

 例えば、ティラノサウルスは相変わらず最強の肉食恐竜だが、しっぽを垂らしてノッシノッシ歩くのではなく、しっぽと頭を水平にしてチーターのように速く動くのである。更にはフサフサの羽毛が生えていたらしい。ティラノサウルスの仲間であるディロンの化石に羽毛の跡が残っていたことから、そう推測されるという。私がティラノサウルスと聞いて思い浮かぶのは、安達裕実主演の映画「REX(レックス)」やジュラシックパーク(初代)に出てくる、ツルツルの体をした「でっかい爬虫類」のような姿なのだが。

 また、トリケラトプスのフリル(えりかざり:額から首回りの部分)にはどこかの部族の儀式のような目玉の紋様があったり、ステゴサウルスの背中の板には色々な形や色があったりする。記憶の中の彼らは茶色や灰色の地味な肌色で、そんなにカラフルな姿をしていなかった。

 図鑑には「○○(代表的な恐竜の名前)の仲間」と題して、数種類ずつの恐竜が見開きで紹介されている。同じ科に属する恐竜が、住む地域によって体の大きさやトゲの形、しっぽの形など特徴が異なり、バリエーションに富んでいることが分かる。人種が違うと体格や目の色、髪の色などが異なるように。

 こうして、自分が覚えていた恐竜の知識は、そんなことまで分かったのかという新鮮な驚きとともに、より詳細に、鮮やかに更新されていく。

 私が言語聴覚士の実習生だった時、実習指導の先生は週末になるたびに「論文を4本読んでレポートを書いてきて」と言われた。日々のレポートにもヒイヒイ言っていた私は酷な課題だと思っていたが、先生はレポートを読むのをとても楽しみにされていた。「実習生さんの書いてくれるレポートを読むと、今の教科書ってこういうふうなんだなと、とても勉強になるの。臨床経験はどんどん増えていくんだけど、自分が勉強した時で知識が止まっているからね」と笑顔で仰っていた。あれは、こういうことではなかったのか。

 年齢を重ねると、勉強しようと思って調べ物をしてもなかなか頭に入ってこない。子供や後輩を育てる中で、一緒に勉強し直すのは確かに楽しい。

 恐竜に関して最も驚いたのは、「恐竜は絶滅していなかった」(youtube動画「しまじろうのわお」より)説。え?絶滅していなかったの?と思わず問うた。詳しくは「恐竜は絶滅していなかった。恐竜は鳥に進化していた」なので、よくよく考えると「始祖鳥のことかな」と思い至る。しかし、かつて「始祖鳥」と呼ばれていた化石は鳥の祖先ではなく、鳥に近い姿を持つ小型の恐竜(アーケオプテリクスなど)である、というふうに、今は考え直されているらしい。

 隕石の衝突か火山の噴火か原因は不明であるが、地球の気候が大きく変化し、大型の恐竜は姿を消し、小型の恐竜(→鳥に進化した)とほ乳類が生き残ったという。

 前述のように、ティラノサウルスなど大型の恐竜にも羽毛が生えており、恐竜と鳥類の間には、骨格、タンパク質の構成上の類似性があったそうだ。

 世界にはおよそ9000~1万種類の鳥がいるという。かつては人間よりもずっと大きかった恐竜は、鳥に進化し、現在も進化し続けているのだろう。東京ディズニーランドの「魅惑のチキルーム」のような、色とりどりの鳥たちが脳裏をよぎる。

「じゃあ、僕アンキロサウルスね。ママは雌のティラノサウルス」と唐突に長男が恐竜戦いごっこを始め、私の思考は遮られる。すると、次男が「ガアー」と恐竜の鳴き声を真似しながら戦いに加わる。

 思考や知識をアップデートさせてくれる。そしてめちゃくちゃに破壊したりもする存在。可愛い恐竜たちは鳴き声をあげ、おもちゃを散らかし、リビングのフロアマットの上を闊歩し、ソファから飛び降り、私に悲鳴をあげさせる。



参考:小学館の図鑑NEO 新版 恐竜 (2002初版 2014新版発行)
  テレビ番組 しまじろうのわお!「恐竜」(2017 6月17日放送)