私のポケットはいつもいっぱい

何故だかいつもいっぱいいっぱいになってしまう、そんな主婦の日記帳です

韓国ドラマ「トッケビ」に恋をするか

「最近、恋がしたい、と思うことがある」

 ママ友にそう話していたら、韓国ドラマを観るといいよ、すごくドキドキするよ、ラブラブキュンキュンするよ!と勧めてくれた。

 韓国ドラマ・・・というと、昔「冬のソナタ」に親友がハマっていたという記憶があるくらいで、とんと詳しくない。どのドラマがいいか?と訪ねると、「トッケビ」がおすすめとのこと。

 早速Amazonプライムビデオを検索し、視聴してみた。

トッケビ~君がくれた愛しい日々~」 純愛ドラマらしさが漂うサブタイトルである。

 第1話。不思議な露天商のおばあさんと未婚の母になる妊婦さん(主人公ウンタクの母)の会話。生死の境をさまよう時が来たら一心に祈りなさい、とおばあさんは言う。

 場面は変わって、高麗の武将キム・シンが出てくる。王に謀反の罪をきせられ、処刑される血みどろの展開。神から不滅の命という呪いを与えられ、トッケビ(妖精のような不思議な存在)として蘇る。呪いを無に帰すことができるのは、トッケビの「花嫁」だけ。

 あれれ?私は歴史ファンタジーが観たかったんだっけ?と思わず自問するが、とりあえず終わりまで観てみようと思い直した。

 トッケビ手塚治虫の「火の鳥」のように、また山下和美の「不思議な少年」のように、時々不思議な力で人間に関与する。

 ひとつ違うのは、トッケビの家臣が代々トッケビに仕えている点。トッケビは年をとらないが、家臣は生まれては、老いて、死んでいく。大切な人がいなくなるのに自分だけは死ぬことができない。

 時は現代にうつり、トッケビは938歳(外見上は30代)となっていた。

 もう一人の主人公、トッケビの花嫁となるウンタクは、母親が妊娠中にひき逃げに遭い親子ともに命を落とすはずだったが、母親が「この子だけでも助けてください」と一心に祈ったところ、トッケビに命を救われる。彼女は産まれる前で名前が無く死神のリストから「漏れて」いた。

 9歳の時に死神に見つかり処理されそうになるが、冒頭のおばあさんの手助けで逃げ延びる。やがて高校生になった彼女は母親の遺産を狙う叔母の家で生活する。叔母といとこには毎日いじめられ家事をさせられ、学校でも友達がいない。話しかけてくるのは幽霊ばかり。

 そんな毎日を変えてほしい!19歳の誕生日、彼女が強く願ったその時、目の前にトッケビが現れる。

 こうしてトッケビトッケビの花嫁は出会った。

 以上が第1話のあらすじ。正直、重く悲しい内容であまり恋愛的なドキドキは無かった。
 が、第10話まで観終わった今は、必要だったと感じられる。「ファンタジー×ラブコメ」の「ファンタジー」の部分を裏付けるために。

 第2話からは「小生意気な女子高生と、それに振り回される恋愛に不器用なトッケビ」という構図が随所にみられ、ラブコメ色が強くなってぐっと観やすくなる。大前提の「トッケビの呪いを解くことができるのは花嫁だけ。呪いが解けた時トッケビは消えてしまう」という状況は生きているので「悲恋」の切なさも併せ持っている。

 「ラブ」と「キュン」のバランスが良い。おばあさん、死神、バイト先の店長、従者の子孫など主人公たちの周囲のキャラクターも魅力的だ。 

 さて、人は、自分が思春期だったころの音楽、映画、ドラマなどの文化を長く愛するという。カラオケなどに行くと各人が青春を過ごした頃の歌を歌い、新しいヒット曲にはなかなか更新されていかない。

 私が小学生~思春期を過ごした1990年前後、この「ファンタジー×ラブコメ」というジャンルは大変流行っていた。

 海外ドラマの「奥様は魔女」(1964~1972)をレンタル屋で借り家族で観ていた思い出がある。その他スタジオジブリ魔女の宅急便」(1989)や、吸血鬼との恋を描いた漫画「もしかしてヴァンプ」(1991~1998)、魔界のプリンスが教員になる「お願いデーモン」(1993)、小さくなってしまった幼なじみとの切ないラブストーリー「南くんの恋人 武田真治×高橋由美子版」(1994)などなど枚挙にいとまが無い。

 大ヒットした少女漫画「美少女戦士セーラームーン」(1992ー1997)は、女子中学生が正体を隠して正義の味方をしているが、前世の因縁や運命の恋が交錯し、UFOによる連れ去り事件、隕石の衝突、人工衛星、未知の惑星などXファイル的な要素もある。私にとって、当時のドキドキや憧れがふんだんに盛り込まれた大好きな作品だ。

 最近のドラマはもう少し現実的な背景を設定し、個々のキャラクターに特色を持たせているものが多いように感じる。

 韓国ドラマ「トッケビ」を観て、私は「ファンタジー×ラブコメ」が大好きだった、ということを思い出した。恋愛だけでなく、不思議な力や、運命や、歴史の裏に隠されたストーリーにも、ドキドキする。

 ひとつのドラマを観ることで、恋多き乙女になれる。

 しばらくはトッケビの世界に恋することができそう。