7/18 インサイド・ヘッド 脳内描写映画
平日休みにはターミネーターを、そして土日休みにはディズニー、ピクサーの「インサイド・ヘッド」を観て来ました。
少女の脳内の5つの感情をテーマにしたこの作品を観るのを、普段から脳に興味がある私は非常に楽しみにしていました。
・5つの感情の登場
そこで、事前に、感情の発達する順序を調べました。5つの感情「ヨロコビ」「カナシミ」「イカリ」「ムカムカ」「ビビリ」について、手元にあった発達心理学の教科書を参考にすると…
最も早く出現するのは「怒り」3ヶ月頃、次いで1歳頃から「恐れと不安」「悲しみ」「嫉妬」「喜び」が出てくるそうです。
映画では最初に喜び、悲しみが、次第に残りの感情が現れるということになっていましたが、心理学の教科書では「明確に表現される」時期を示しているので、実際は映画のように、生まれた時から喜びに満ちているのかもしれません。と、思いました。
・記憶と感情の関係(大脳辺縁系のはたらき)
また、映画中で巧みに表現されていると感じたのは、記憶と感情の関係、また、記憶と、感情と、性格(パーソナリティ)の関係です。主人公が毎日経験する出来事の記憶は、それぞれ感情の色を伴う玉となって保管されます。そして、それが積み重なって、性格の島が作られるエネルギーになったり、既にある性格の島が活性化されたりする、という表現をされていました。
これは脳の仕組み上、本当にそうです。日々の記憶は大脳辺縁系の海馬でつくられますが、その時、情動(感情)を司る扁桃体が記憶の定着作用をすると言われています。また、脳の神経細胞であるニューロンが、シナプスという腕を伸ばして結合するのはよく知られていることです。このシナプス結合は、よく使う分野に関しては専用の回路を作るので、使えば使うほど、その事に関する回路は強化されていきます。まさに感情の色と、記憶の玉と、性格の島に分かりやすく表現されていると感じました。それらの島が出てきている地面が、良く見ると六角形の脳細胞の形になっているところもさすがだなあ、と感じました。
・辛い現実を受けとめる時
この映画では、主人公にとって辛い出来事が起こります。自分の力ではどうしようもないようなことを、どの感情を使って、どうやって受けとめれば、よりよい明日を過ごせるのでしょうか。そういったことを考えさせられました。
ちょうどこの映画を観に行く少し前、私たち夫婦にとって落ち込む出来事がありました。その時私は夫が落ち込んでいることにイライラし、映画中で「ヨロコビ」がしたように超前向きに励ましました。しかし、夫の心は晴れなかったのです。困った私は友人、先輩に相談しました。すると「旦那さんはきっと、とても悲しかったのよ。その気持ちに共感してあげたら」とのアドバイスが方々から…。
そして、いつも元気に明るくするのではなく、時には落ち込むことも必要なのかも、と、納得。
これは何かの授業で習ったのか忘れましたが、人間の心は次々と色々な感情が入れ替わってこそ、健康でいられる、と。鬱々ばっかりだと鬱だし、明るすぎると躁。inside headのどの感情も同じように、バランスが大事。私も思い切り泣いたり笑ったり、怒ったり、イライラしたり、移り変わる感情に目を向けて、美しい感情に彩られた玉を創り出していきたいです。そんな気持ちになりました。
あ、脳内描写映画と言えば、水城せとなさん原作のこちらの作品も↓
気になります。